持続可能なつながりの場をつくる
共用となる空間はできるだけ明るく開放的な場所とし、地域とも森ともつながる空間をイメージしています。住居には、高齢者から子育て世代、若単身者まで様々な世代と世帯が入居します。現状の超高齢化地域が持続性のある自立循環型地域となるために、コモンミール・ダイニング・キッチン、バリアフリー、UD、EVカーシェア等を提案します。火に集まることの豊かさのために、住民センターにはオープンな暖炉もあります。煙突から白い煙がのぼっていれば誰か集まっている目印。西の家・東の家の間をマーケットプレイス(市場)として活用し、採れたての野菜を販売するなど人で賑わう場所にします。
森の恵みの「智」を蓄える循環型設計
木材、陶器、ガラス、繊維などの再生可能な物質でつくることを念頭において設計します。自立循環型住宅の手法をもとに徹底した省エネルギー住宅を計画する中で、やむを得ず使用する材料を見える化することで、次のステップへの問題点として蓄積し続けることと、下川町オリジナルの製品開発へのフィードバック提案を積極的に行います。LCAの検討や、建物の地場持参度合いを計る地場持参建物マイレージの採用等から得られた結果をフィードバックし、智の資産として今後の計画に活かせるように「智」を蓄え循環する設計を行います。
集住化住宅モデルの設計・整備のあり方
低炭素施工と地産地消(建物)マイレージ=地場材料使用量を数値化します。エネルギー消費を抑制する住宅をつくりCASBEEで評価します。また生産、輸送、加工段階においても温暖化ガス排出をライフサイクルアセスメント(LCA)で測りながら利用します。持続可能で循環型の森とするために、建物LCA検討を行い、今後の住宅計画等に反映します。「メイドイン下川」のまちづくりを目指します。現時点で活用できる資材を導入することはもちろん、こんな物があればよい」というものを、設計を通して提案します。バイオエタノール燃料による建材の運搬などもすぐに実現可能なアイデアです。
既存施設の有効活用
既存のコミュニティセンターやグループホーム・周辺の住宅など誰でも接続可能な施設を提案します。高齢者・単身者向けの住居の輪に既存施設をつなぎ、一つの集落として機能させます。センターのキッチンを改修して、「みんなのダイニングキッチン」を提案します。この規模の住民だけでコモンミールを成立するのは負担が大きいので、外部からの協力者も必要です。その際、地域にも開かれた、オープンで使いやすい空間が必要です。そこで一の橋コミュニティセンターを、「みんなのLDK」として有効活用することを提案します。木質化しながら省エネ改修することで、バイオビレッジ構想にふさわしい施設とします。
災害に強い街づくり
昭和29年の15号耐風、や30年の大水害、また、31年、32年の大火などの経験を活かし、災害に強い街づくりを目指します。熱供給センターからのセントラルヒーティングにより、木質バイオマスを熱源にしながら安全で安心な暖房とします。木質木造建築を、適所に不燃化や燃え代設計により防火性能を高めながら、リトルハウス等の隣棟間隔をとり延焼にも配慮した計画とします。